『オディレイ』/BECK (070/100)


 確か、ベックが世に出たのは、
 カート・コバーンの死後、そしてグランジ・ロックが終焉を迎えようとしていた頃でございました。
 確か。

 そんな葬式ムードの中、勢いがあったのはグランドロイヤルの連中と、ビースティ・ボーイズでした。
 メッセージ性やナルシズム、ファッションなイメージがまだ横行していたヒップホップを、
 彼らは自分たちのカルチャーとして時代性を織り込み、先鋭化した音楽を作り上げました。
 九十年代の、
 と言えば、想像できるような倦怠、緩慢、空虚、惰性やらやら、
 マイナスな景色へシリアスに向き合ってしまったのがグランジならば、
 自嘲気味にも受け止めようとしたのがビースティーズらでした。
 そんなとこから、象徴的にも現れたのがベックなのです。

 「俺は負け犬。早く殺してくれよ」と歌われるデビューシングルの「ルーザー」。
 ブルーズ、カントリーを基調としながら、
 ラップやターンテーブルを用いて、弛緩した調子で鳴らされる音楽は、
 恐ろしいほど時代性と同化しておりました。
 さらに気の抜けたPVもスナッフ的だったし、
 アルバムもヒットするし、多くの話題と支持を獲得しておりました。
 が、
 四年は空いたのかな?
 待望されたセカンドアルバム『オディレイ』は、我々の予想を突き抜けたものでありました。

 大雑把に云ってしまえば、ファンク・ミュージック。
 その根底にあるアコギの音に変わりはないけど、
 よりクールなサウンドになり、より熱いビートを鳴らすようになった。
 自嘲はユーモアと辛辣さに変換された。
 脳天気なパーティー・バンドでもない。
 ルーツと最新のサウンドを融合させた、とても現代的且つ都会的な音楽でありました。
 アーバン・ブルーズみたいな。

 この来日ツアーを見に行ったけども、
 ヒップホップをやったかとおもえば、いきなりアコギでカントリーを歌い、
 大袈裟なバラードをやったり、ファンクバンドになったりと、
 盛り上がったけれど、
 お客さんそっちのけで好き勝手に暴れまくるベックの姿が、とても印象的でありました。
 んで、
 その時に「ルーザー」もやったのだけど、
 でろんでろんな音はそのままに、ぴょんぴょん飛び跳ねながら歌う姿を見て、
 あ、ベックはそっち側なんだなと、やっと確信する事ができました。

 『メロウ・ゴールド』は、一緒に作ったカール・スティーヴンソンの影響があったんやなあ、と。


オディレイ+19(デラックス・エディション)

ベック / UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)


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by y.k-ybf | 2009-06-24 00:02 | 音盤/100 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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