『マイナス 完全版』 山崎さやか
2004年 12月 25日
『マイナス』が例のエピソード収録の完全版で売ってるつーんで、
読んだ。
当時、話題にもなったんで説明の必要もないかもしれませんが、
例のエピソードってのは、
「子供の遺体を丸焼きにして食べた。」
というやつで。
抗議殺到、単行本未収録、「幻」扱いになりました。
でもこうして読んでみると、
確かにそのエピソードのインパクトもさることながら、
あくまでワン・エピソード程度の扱いで済ませていることのほうが、驚きであった。
つまりこの『マイナス』という作品は、
全体的に、そーゆーものなのだ。
一見、
安達哲の『さくらの唄』を連想させる絵柄、内容におもえたが、
なぜか途中からマンガチック、ギャグ風味に変化、
そのくせテンション、内容はどんどん加速してゆくという。
とんでもないものになった。
ラストはもう、破滅しかないだろうとおもわれたが、
意外にも「罪と罰。改心。」という着地点が選ばれた。
しかしこれ、
どーしても取って付けたようなものにしか、読めない。
「死ぬしかない」ものを避けるために、選ばれたような。
さらに想像を飛躍させると、
この物語はエンディングを必要とせず、想定されずに綴られていたのではないだろうか。
笑ってもらって、読み捨てられて、
終わりもなく、終わろうとしていたようにもおもえた。
そして『マイナス』のタイトルイメージそのままに、許される作品ではないかと。
夢オチでいいじゃねえかと。
仮面ライダー龍騎みたいに。
わたくしは、これを読んで一回も笑うことができなかった。
少なからずマイナス思考な人間だから、
なのかは判らないが、
ゲラゲラ笑って読める人間も、おそらくおるのだろう。
ヒトはそれを、プラス思考というのだろうか。
残酷な言葉である。
マイナス 完全版(1)
山崎 さやか / エンターブレイン
ISBN : 4757718128