『Sink』 いがらしみきお



 一巻目を読んだとき、
 こりゃ、完結するまで何年かかるのか、と不安を覚えたが、
 あっさり二巻で完結した、いがらしみきおの『Sink』。

 だからといって内容まであっさりしておるわけもなく、
 じつにイヤな、ねっとりしたものを残して終わっている。

 や、正確には、終わっていない。

 まあ、二巻のあとがきを読んで、
 この作品がホラー系なんだと気付いたぐらいなので、
 えらそうなことも言えないのですが。
 とても些細で、かつ、根元的なテーマを取りあげている。
 それは政治的にも、歴史的にも連鎖連結し、
 地球というマクロでありミクロへ帰結し、
 「恐怖」は、逃げ場のないループとして、世界を深く重く汚染していく。

 それ、は、
 形でもあり、言葉でもあるが、
 一つではない。
 一つではないから、どこにでもあるのに、どこにあるのかわからない。
 例えば、
 「ココロ」というものを、
 見たニンゲンが誰もいないように。

 地球が、それ自体、一つの生命体であるというのは、
 いまや常識的な論調として知られているが、
 ならば、地球の「ココロ」とは、何であろうか。
 どこに、あるのだろうか。

 世界の、「ココロ」は?

 それ、が、
 自然とは相反するものであることを、
 容易く受け入れ、忘却することは、「恐怖」を増殖させる。

 終わりのない、システムのようでもある。


 スーパーで買い物して、自分の自転車を取りにゆくと、
 カゴに空き缶が山になって詰め込まれていた。

 ココロに、選択肢が生まれる瞬間。
 それが『Sink』に描かれているもの、な、気がするのだが。


Sink 1 (1)
いがらし みきお / 竹書房
ISBN : 4812456495



Sink 2 (2)
いがらし みきお / 竹書房
ISBN : 4812460859



 Sink
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by y.k-ybf | 2005-01-14 18:40 | 本棚 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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