『哀しき獣』、を、観た。


哀しき獣 ディレクターズ・エディション [DVD]

Happinet(SB)(D)



 とくに情報もなく、評判だけは聞きつつ、観たわけですが、
 これが、
 何が始まるのか、何処へ向かうのか、まるで分からず、掴まらず、
 ストーリーが動き出すと怒涛の勢いで突き進む、とんでもない映画でしたよ。素晴らしい。

 確かに、ストーリーは分かり難い。
 何度か巻き戻して、なんとなく分かった。つもり。
 そしたら、
 日本で公開されたバージョンは、いわばディレクターズカット版で、
 オリジナルより短く編集されているんですって。
 ストーリーの分かり易さより、作品の速度を選択したわけですな。

 そんで、
 アクセントとして、良い働きをしているのが、フード描写。
 「食べ物」のシーンですな。
 例えば、主人公が食べるものは、手軽で身近なものが多く、温かい。
 これは彼がおかれている状況、状態を表し、キャラクターを投影している。
 また「温かさ」はエネルギー、パワーの象徴でもあるし、彼がまだ正気を保っている印でもある。

 主人公を追い詰める側の、密入国とかやってる凶悪な殺人集団にも、
 車座になって鍋で煮込んだ骨付き肉(牛? 犬?)を食べるシーンがある。
 一見、粗野に見えるシーンだが、
 大人数で同じ食べ物を囲み、分け合っていることから、
 彼らの親密さ、関係性がわかるし、粗暴さの一面も伺える。

 逆に、もう一つの集団、マフィアでいいのかな?
 彼らは食事のシーンも、それに価するよーなものもなく、代わりにタバコばかりくわえている。
 これはキャラクター性の剥奪であり、ただの暴力装置としての、悪役兼ヤラレ役を示唆している。

 とゆーフード描写を、フード理論と云いまして、
 無駄なセリフ、描写を省ける上に、
 シーンに+αの要素を加えられる、とても有能な手法でもあるので、
 覚えておくと、さらに深く映画が楽しめます。

 えーと、
 少し話が逸れてしまいましたが、
 逃亡ノワールモノとして、漲った傑作でしたよ。

 バーンと上がって、ズーンと沈む映画だけども。
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by y.k-ybf | 2013-01-04 21:05 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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