『さや侍』、を、観た。
2013年 01月 28日
続きまして、『さや侍』、を、観ました。
『しんぼる』がお笑いを噛み砕いたものならば、
『さや侍』は、エイガとして、分かり易く作られたものだと、おもいましたよ。
主演が、これまでの松本さんではなく、野見隆明さんとゆーズブズブの素人さん。
いや、素人の、イイ味のおっさんでありますね。
他の番組で松本さんさんに使われていた経緯もあるのですが、面倒なので省略。
とにかく、素人ではあるので、演技はできないし、コントもできない。
そればかりか台本も与えられず、ろくな説明もされず、
自分が主演のエイガを撮影していることすら知らされていなかったよーですよ。徹底してますね。
そこまで素人を追い込んだ効果がどれほどあるのか、
なんとも言えませんが、
わたくしは正しかったとおもいますよ。
少なくとも、松本さんが演じるよりは良かったのではないかと。
その代わりってわけでもないが、
まわりを固める演者に、プロの役者さんが多いので、
前二作までにコビりついていたコント臭は、かなり解消されております。
これが野見さん効果て云えば、そーなのかな。
あと、
狙ったのかどーか分からんけど、
冒頭で、野見さんが刀で斬られたり、頭を撃たれたり、首を折られたりしながらも、
薬草だけで治っちゃうってシーンがあるけど、
これは、このエイガの線引き、ラインを表したもので、
こーゆーデタラメさはアリな世界ですよって、説明を兼ねてのシーン、なのかな。たぶん。
なので、
中盤辺りの、アレやコレやが不条理に感じる必要もないのだな。ロデオマシーンとか。
んで、すねー、
ラスト、クドい長い、との意見も見かけましたが、
わたくしもアノ内容を賞賛する気にはなれないのですが、ホロッと感動してしまいまして。
でもコレって歌の力だよなぁ、ともおもいますが、
そこまで到達できたってのは、エイガの強度、力があったからなのでしょう。
そこは評価しなければなー。ホロッときたし。
で、だ。
んじゃオモシロいエイガなのかと問われたら、んー、困ったことに、オモシロくはないんだなぁ。
「三十日間の内に、子供を笑わせなければ切腹」とゆー話で、
一日一回、何かオモシロオカシイことを披露するわけなのだが、
これが悉く、笑えなかった。
ま、ストーリー的には、それで正しいんだけど。
要するに、
笑えないネタを延々見せられるエイガ、なんだよな、コレ。
その構造に気が付くとゾッとしますが、
ゆるいのは披露されるネタだけじゃなく、会話の組立やキャラ付けにも及んでおりまして、
まぁ、脚本がダメなんだなあ。
板尾さんらの会話は学芸会みたいなノリだし、
結局、狂言回しにされてしまう三人の殺し屋たちの掛合も、ぜんぜん巧くない。
なんでお笑いの専門家であるヒトのエイガで、こんなことになるのか。
観客をバカにしてナメてるんだろなー。
あとはね、
エイガを作る配慮ってものが、そもそも松本さんには欠けてるんだわ。
うん、それはハッキリしたな。
と、ゆーわけで、『さや侍』。
あんまりオモシロくないけど、感動はできる。そんなエイガでした。
んで、ここまでくると、
不思議なことに、『大日本人』は、よくできたエイガだったんじゃねーか? と、おもえてくるんだよね。
『しんぼる』も、おもしろかったんじゃね? とか。
フシギフシギ。
そしたら野見さん、
この映画で日本アカデミー新人賞、受賞してるのな。驚愕。