『お引越し』、を、観た。


お引越し デラックス版 [DVD]

パイオニアLDC



 相米慎二監督作品。
 以前にも観た記憶があるのだが、いい機会なので、も一度観てみた。
 あ、こんな映画だったんだ、と、気がついた。

 両親の離婚、その顛末と心情を子供の視点から描いたファミリードラマって形になっとりますが、
 まず、子供が子供らしくなく、大人が聞き分けのない子供のよーに描かれている。
 主人公の女の子は、泣くときも喚いたりはせず、静かに涙を流す。
 大人が飲み込んだ言葉を代弁するかの如く、喋り倒す。
 この役割の逆転はリアルさだけではなく、べつの意味も含まれている。
 ラストの海辺でのシーン。
 まともに会話すらせず、互いの主張だけをぶつけ合う両親の元から飛び出し、
 見知らぬ町をさ迷い、真っ暗闇の草むらを抜け、海辺にたどり着いた女の子は、
 親子三人の仲が良かった頃の思い出を、幻に見る。
 しかし、幻は次第に炎に包まれ、燃え尽き、父と母の姿も海の中へ消えてゆく。
 残されたのは、幼い自分の幻。
 そんな幻に向かって、女の子は、大きく手をふり、おめでとうと声を掛け、叫ぶ。
 自分を雁字搦めに縛り付けていた思い出、幸せな記憶、あるべき親と子の姿、
 つまり「過去」への決別を成し得た、自分自身への祝福である。
 この映画が描こうとしているのは、「親ごろし」であり、成長の物語なのだ。
 だからあのエンディングは、未来へ進んでいるわけなのだね。
 一つ先へ、「引越し」たのだ。
 意図的に奥へ延びる縦のアングルも多用されていて、そのへんも計算されているのだろう。
 今でも斬新で、素晴らしい映画だ。


 中井貴一のファッションは、モロに時代が出てるけど。
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by y.k-ybf | 2013-03-13 21:37 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


by y.k-ybf
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