『メイン・テーマ』、を、観た。


メイン・テーマ デジタル・リマスター版 [DVD]

角川書店



・『メイン・テーマ』

 森田芳光監督、薬師丸ひろ子主演の『メイン・テーマ』。
 1984年の、角川映画だ。

 わたくしは世代的に小学生だったとおもうのだが、
 一応、リアルタイムではあるし、何らかの形で観ているはずだが、ほとんど記憶にない。
 観てるつもりで観ていなかったのか、記憶に残るほどではなかったか。
 さて、さてと。

 幼稚園の先生で19歳(処女)の薬師丸ひろ子は、
 園児の父親である財津和夫を好きになってしまい、転勤先まで追い掛けるも、
 途中でマジシャンの野村宏伸と出会い、惹かれてゆく。
 しかし財津と野村は、ある女性ジャズシンガーに夢中で…。
 と、
 大雑把に粗筋を書き出してみると、なかなかドロッとした関係ですが、
 そこは森田芳光と八十年代とゆー時代。
 じつにあっさりと描くし、むしろストーリーを放棄している。
 や、正確には、ストーリーが演出に喰われてる、か。
 元々二時間以上あったのを、切りに切りまくり、この形にしたらしく、
 DAKARAかぁともおもふが、
 DAKARAじゃねーだろともおもふ。完全に確信犯だろ、と。

 ジャズシンガーの桃井かおりが、私のステージ観に来なよと野村を誘い、チラシを渡す。
 すると野村は、興味ないよと、そのチラシをくしゃっと握り潰して放り投げる。
 投げられたチラシは一旦画面から見切れて、紙ヒコーキになって戻ってくる。
 キーンって効果音付きで。
 とか。
 一つのシーンでも、アタマとオワリの順番を入れ換えたり、
 アレンジを変えながら、同じ曲を延々に繰り返したり。
 脈絡も辻褄も解らないシーンは数知れず。
 エキセントリックで、アバンギャルドで、
 映画全体がイカレたおもちゃ箱のよーにも感じられる、尖りまくった演出の嵐。
 それは、大人の女性へと至る祝祭の日々がテーマとなっているからで、
 森田的モラトリアムを描いているんだろーけど。
 ま、それはさておいて。
 気になるのは、
 こーして取り上げられているPOPカルチャーが、あまりに未熟で幼くて、弱いこと。
 稚拙と云えば、そーなんだけど、そこが透けてしまっているのが、残念。
 あとわね、
 このイカレた世界観を加速させている、野村宏伸の素人っぷり。
 薬師丸ひろ子がベテラン女優におもえるぐらい、
 演技がヒドいとか、棒っきれとか、そんなレベルじゃなくて、
 幻覚? 幻想? みたいな存在感でね。
 声が出てない、口調が死んでる、表情も感情もなく、そもそも役柄と合っていない。台詞が悪い。
 と、パーフェクト。
 台詞は、脚本のせいだけど。

 でもね、と。
 最後にもう一度、でもね、と。
 ラストの、「メイン・テーマ」が流れ始めてからの、
 さらにホテルのバルコニーから引いて引いて引きまくるショットは、圧巻。
 あ、コレかと。
 この映画はコレかと、強引に納得させられる力があります。

 森田芳光らしいのかな? らしくないのかな?
 甘くてユルいんだけど、
 それが結果としてカルトチックなアイドル映画を生み出したわけ、ですな。
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by y.k-ybf | 2013-04-13 23:04 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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