『仁義なき戦い』、そのシリーズ。三本。その参。


その後の仁義なき戦い [DVD]

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 79年公開。
 深作欣二も菅原文太も参加していない、本作。
 タイトルに「その後」とあるが、ストーリーが繋がっているわけでもないので、実際には「その前」がない。
 シリーズ全体から見ても、なんとなく浮いている。
 監督は、ドラマで「傷だらけの天使」や「必殺」シリーズをやっていた、工藤栄一。
 主演は根津甚八、宇崎竜童、松崎しげる(!)。
 メインはこの三人の若いヤクザで、
 これまで組や抗争が本筋であったシリーズだが、ここではそれも背景に過ぎず、
 ヤクザモノとゆーより、青春チンピラ映画と云えるだろう。
 「仁義なき戦い」を期待しているとかなりの肩透かしをくらうが、チンピラ群像としては、とても楽しめた。

 ヤクザの組世界に翻弄されて、
 友情を引き裂かれ、希望も命もあっさりと切り捨てられる。その結末は、、、。

 根津甚八だけではなく、
 宇崎竜童、松崎しげるも好演しており、三人の若者の姿が印象に残る、良作でしたよ。
 『SR サイタマノラッパー』のMIGHTYは、この宇崎竜童がモデルだったのだな。おそらく。
 また、シリーズとの関係性は薄いが、
 松方弘樹、山城新吾、金子信雄、成田三樹夫ら馴染みの顔ぶれも揃っており、
 おもしろいことに、全員殺される役である。
 とくに金子信雄は同じ組長役でありながら、シリーズ初めての死が描かれ、驚きました。
 余計な深読みをすると、
 ヤクザモノの人気も失墜し、テレビの台頭もあり、映画界も大きな転換期を迎えようとしている時代に、
 それでも過去の看板で作品を作らせる何かへの、抵抗ではないかと。
 それぐらいタイプが違う作品であり、旧シリーズからのキャストも、噛み合っていないのだ。

 そんな、『その後の仁義なき戦い』。
 後半に入ってから展開が飛んでるとゆーか、急角度な気もしますし、
 あのー…、
 萩原健一が最後に出てくるんだけど、意味がわからん。
 あれ、台詞もアドリブじゃないの?
 凄いとかべつにして、あのシーンでやられてもなぁ。。。
 さらに泉谷しげるも、変な役で出てくるし、
 その辺りは監督が、やりたいものをぶち込んできたって感じで、ちょっと混沌としてる、かな。
 終わり方も、
 んー…、と、おもいましたが、
 時代の繋ぎ目が、丁度真空パックされたよーな、そんな貴重な作品と、云えるかな?w


新・仁義なき戦い。 [DVD]

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 00年公開。
 約二十年ぶりのシリーズ復活となった、「仁義なき戦い」。
 監督は、阪本順治。
 主演は豊川悦司と、布袋寅泰!
 舞台は大阪で、当然のよーに、過去作とは繋がりのない独立したストーリー。
 ヤクザの豊川と、カタギでコリアンタウンの世話役となった布袋。
 子供時代の友情を背景に、それぞれべつの道を歩みながらも、交錯してゆく運命を描いております。

 これはね、
 前作『その後の仁義なき戦い』からの影響を残しつつ、
 Vシネマに主戦場を移したヤクザ映画を経て、生まれた作品だとおもふ。
 九十年代のビデオっぽさがあり、スタイリッシュとは違うけど、そんな撮影効果もあったりして。

 今作のストーリーは、組の跡目問題が軸になっております。
 謀略が静かに進行してゆく様や、
 岸辺一徳が演じるイヤらしい人格の組長代行、
 かつての小林旭をおもわせる佐藤浩市など、シリーズ本来のらしさもちゃんとある。
 冒頭の、
 ダーッと連なる黒塗りの車から強面の幹部連中が姿を現し、
 そこへ布袋が編曲したテーマ曲が流れるタイトルシーンは、かなり上がります。さすが、阪本監督。
 んがしかし、
 全体の展開が地味っちゃ地味で、
 バイオレンスとゆーかアクションもおもったより少なく、スルスルと話が進んでゆく。
 スマートと云えば聞こえはいいが、
 アクがなく、ギラギラしてないので、引っ掛かるものがない。
 布袋がヤクザ側のニンゲンではなく、出番もあまり多くないのも意外でした。
 もっと豊川と二人でバチバチやるのかとおもたよ。
 ストーリーも、語り過ぎないよー意図的に隠してるんだけど、
 ちょっとモヤモヤする描き方で、
 何より、主役の豊川が、本筋に殆ど絡まないんだな、コレ。
 跡目問題は上の話だし、問題を起こすのは下の連中だし。
 ラストの襲撃だって、狙うのはそっちじゃない気がするしなぁ…。
 あの会計士もさ、もっとクローズアップして、使えそうなのに。
 そんな、物足りなさもあるけど、
 シリーズ復活への意欲も感じられた作品でしたよ。

 布袋のロボットみたいな演技に関しては、コメントはスルーさせて頂きます。
 あるシーンで大爆笑しちゃったけど、これは役者としてハードルが高すぎるよ。
 本職じゃないんだもん。

 只ね、
 音楽監督も布袋が担当していて、
 この映画用に作った「新・仁義なき戦いのテーマ」を聴いたタランティーノが気に入って、
 自分の映画(『キル・ビル』)で使用して、それが世界中に広まって、
 いまや布袋の代表曲になったんだから、わからんもんだなあと、おもいますよ。本当に。


新仁義なき戦い 謀殺 [DVD]

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 03年公開。
 観たのに、よくわからなかったんだけど、設定は前作と続いてるらしい、本作。
 主演は渡辺謙と、高橋克典。
 監督は、『探偵はBARにいる』の橋本一。東映の社員監督さんで、いろんなもん撮ってますな。
 舞台は大阪で、
 ストーリーは、これまた組の跡目問題が中心。好きだね、この設定。

 渡辺謙が、まるで前時代の生き残りのよーな、武闘派ヤクザ。
 高橋克典がその弟分で、ビジネスにつよい、インテリヤクザ。
 小林稔侍演じる組長は、引退をほのめかしながらも、なかなかその座を退かず、周囲を惑わす。
 小さな火種は、次第に組を割りかねない争いへと発展し…。

 正直、
 小林稔侍の組長が何を画策してたのかよくわからんのだが、
 じつに厭らしく憎らしい組長キャラで、金子信雄に劣らない悪役ぶりでした。
 ちょっと小賢しさがでちゃうのが惜しいけど。
 渡辺謙の武闘派ヤクザは、菅原文太と千葉真一を合わせたよーなキャラで、さすがケン・ワタナベ。
 見事な狂犬とゆーか、闘犬ぶりでした。
 悪妻の夏木マリとの絡みもすげーよかった。低俗な感じがw

 高橋克典も、キレ者とヤクザ、どちらも違和感なく演じてて、器用で巧い役者さんだなぁと、おもいましたよ。 (こちらは松方弘樹と小林旭的な存在かな?)
 南野陽子とのエピソードは、要らないとおもったけどね。

 この、初期シリーズを連想させて、現代的アレンジと混ぜ合わせる感じは、魅力的で巧いですね。
 ストーリーも、じつは第一作目をシンプルにオマージュしてるんだな。
 只、
 キグルイ系はイマイチで、坂口憲二もヒットマン役で出てたけど、ダメでしたなぁ。狂ってないもの。
 あと、ここにきて、残酷描写が跳ね上がってますw
 タマキンをペンチで捻り切るとか、かなりのバイオレンスでした。。。

 とゆーね、
 男同士の無骨で純粋な絆が、欲望に食い尽くされるとゆー、
 (現在のところ)シリーズ最期にして、とても仁義のない作品でした。



 と、ゆー具合に、
 「仁義なき戦い」シリーズ全十一作、観了。
 たいへん楽しく、希有な体験をしているよーな、有意義な時間でありました。

 深作が関わったシリーズだけではなく、後半の作品にも、それぞれ特徴的な面白さがありましたよ。
 ま、そーわ言っても、最初の五部作、や四部作か。
 そこは別格でしたね。
 まず、終戦後から這い上がる人々の死闘の歴史があり、
 それを演じる役者たちの姿があり、その姿を焼きつける映画と、それを求める人々がいた。
 日本には、こんな時代があったんだ、と、幾重にもそこに興味を探すことができる。
 まさに体験を追うよーな、そんな映画シリーズでありました。

 機会がありましたら、一度は、ご覧になってくださいな。
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by y.k-ybf | 2014-02-06 11:31 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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