「バットマン」の、前の、シリーズを、観た。四本。


 毎度のWOWOWにて、
 ティム・バートンが関わった「バットマン」シリーズ全四作が放送されたので、久し振りに観た。
 以前観たのはまだビデオテープの時代だったので、かるく十年以上前になる。
 アメコミ映画の状況も、当時と現在ではだいぶ変わっているので、その印象の違いにも興味がありましたので。


 ダーク・ヒーロー感を特徴とする「バットマン」だが、
 ティム・バートンの「バットマン」は、
 黒や闇を主体としながらもポップさを忘れていないし、ユーモラスな変人たちの饗宴とゆー印象を受ける。今の感覚だと。
 これは原作コミックのシリアス要素ではなく、
 TVドラマ「バットマン」の影響を残したから、じゃないのかな?
 クリストファー・ノーラン版とは、も、この時点で違っている。
 言い換えるなら、マーベルの映画っぽいんだな。面白いことに。

 ちょっと長く感じてしまうのは、バットマンのキャラを掘り下げる必要があるからで。
 マッチョで異様に強く、ガジェットで暴れまくるバットマンは観ているだけで楽しいが、
 やはり白眉は、ジャック・ニコルソン演じるジョーカー。
 狂気キャラの決定版とも云えるが、
 こーして観ると、人間臭さもあるんだな。ちゃんと「殺される」し。

 他には、ハービー・デントが出ていたり、ゴードンがチョイ役だったり、
 ノーラン版もふまえて観ると、
 ヘェ~とおもふ部分がいくつもありましたよ。

 あ、
 プリンスの楽曲は、今の感覚だとそれほどマッチしてないよーに感じたな。
 つか、あまり使われてないんだけども。


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 92年公開、ティム・バートン監督による二作目。
 いきなりだが、これは傑作ですね。
 ティム・バートンの感性が爆発的に開花している。
 よくこんな作品を、この規模で公開したなと、おもいますよ。

 主役はバットマン、、、ではなく、
 ペンギンでもなく、キャットウーマンだろな、コレ。
 ツギハギだらけのレザー・コスチュームが、
 キャットウーマンのキャラと内面を的確に表現していると同時に、
 作品のテーマでもある、引き裂かれた人格と人間の二面性を体現している。
 バットマンがキャットウーマンに共感して、惹かれるのもその為だ。
 更に、
 このテーマはノーラン版の『ダークナイト』にも受け継がれてはいるものの、あやふやなままになっている。
 しかしティム・バートンはキッチリと、しかも恋愛要素を交えて仕上げているのが素晴らしい。

 二人は分かり合い、結ばれていたかも知れないが、
 互いに本当の自分を見つけた時に、被った仮面は正義と悪に別れていたのだ。

 そして、
 あの印象的なラストショット。
 雪が降り積もるゴッサムシティの、ココが、一番好きだな。

 てな感想なんですが、
 すっかりスルーしてるペンギンも好きなキャラだし、ゴシックな美術やガジェットも見事でしたよ。


 ティム・バートンは製作にまわり、監督はジョエル・シュマッカー。
 バットマンもヴァル・キルマーへチェンジ。
 バットスーツは乳首がついたスリムなデザインへ変更された。

 前作から続けて観ると、
 よーーーくわかるのは、ティム・バートン色がすっかり抜け切って、
 シリーズモノとはおもえないほど様変わりしていること。
 監督が代わったから当然と云えば当然だけど、
 これは新たなリメイク、仕切り直しに近いんじゃないかな。
 ブルース・ウェインがまた両親の死で悩み始めるし、
 子供の頃、洞穴に落ちてコウモリを見たエピソードも、ここで出るしな。
 それがロビンの境遇と重なり、二人に絆が生まれるわけだが。
 (ロビンが見るコウモリは、まさにバットマンなんだな。)

 んが、
 この客層を広げる為の明快なヒーロー路線は、それまでのシリーズを好んだファンをごっそり削ぎ落としてくれまして。
 その判断はどーなんだろ? と、未だに作品を観て考える。
 だって、
 アート的な要素の代わりに埋め込められたのが、あまりに表層的なゲイ・カルチャーなんだから。
 バットマンのケツのアップとかさー。さー。

 カップリングは悪役も同様で、
 トゥーフェイスをトミー・リー・ジョーンズ、
 リドラーをジム・キャリーが演じて、コンビで悪巧みをするわけだが。
 トゥーフェイスは、完全にジョーカーの劣化版。
 リドラーは、
 元々が狂った開発技師で、それを正気で狂ってるジム・キャリーが演じてるから、キャラがまったく見えないし、
 そもそも何をやりたかったのかすら分からない。
 あの箱丸色の機械で、個人情報を盗もうとしたの?
 宝石泥棒とかしちゃうヤツが!?
 ま、そんなことより、コスチュームが全身タイツだけってのが問題だな。
 しかも、こんなヤツにバットマンの基地が破壊されるからなぁ。
 なんじゃい、と。

 んで、
 ここらで誉めポイントも挙げたいところだが、、、全然浮かばないんだな。
 バットマンとロビンも、
 悪役二人も、どっちも魅力的じゃないから、ゲームのムービーのよーな薄っぺらさを感じるし。
 ヒロイン役のニコール・キッドマンとか、ホント酷いからね。アホ女で。
 も、女性蔑視の類だよ。
 それでもまー、アクションは良くなってるけど、
 そもそもティム・バートンがアクション下手過ぎたからな。その点は次作の方が、更に良くなってるし。

 んー、
 やっぱりヴァル・キルマーが、とことん合わなかったんかなぁ。。。

 っつーね、フォローもイマイチな、そんなアレ。


 続いて、
 『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』

 97年公開、監督は前作と同じジョエル・シュマッカー。
 バットマンは、ジョージ・クルーニー。
 シュワノルドが悪役を演じるってことで話題にもなった本作ですが、
 公開当時は散々な酷評を集め、ラズベリー賞でもがっぽりノミネートされて、シリーズも打ち止めとなりました。
 確か、
 わたくしも映画館で観たはずなのだが、印象がまったく残っておらず、逆に新鮮さで楽しめましたよ。
 嗚呼、こんな映画だったんだ、と。

 ユマ・サーマンが悪役だったのも、すっかり忘れておりまして。
 つかベインが、
 ノーラン版であんだけバットマンを苦しめたベインが、
 あのベインが、こんな扱いなんだねぇ…。
 やー、愉快愉快。
 何気にバットガールとか出てくるしな。
 「こんな事になるだろうと…」って、真田さんみたいなコトを喋りだすアルフレッド。
 この、
 お爺ちゃん執事の病気を治すって伏線で、Mr.フリーズを助けるんだけど、
 ココをもちっと活かせれば、少しはマシな映画になったかもな。

 11分以内に解凍すれば大丈夫!
 うん、
 バットマンだから大丈夫!!

 太陽光を人工衛星で反射して照射!
 とか、
 ソーラ・システムっぽいけど、大丈夫!!

 あのね。
 薄っぺらいだけじゃなく、安っぽい映画になっちゃったんだな、コレ。
 ジョージ・クルーニーのバットマンは、そーゆー意味ではまだマッチしてるんだけど。軽薄な感じが。



 とゆー、「バットマン」旧シリーズの感想でした。
 意図はなかったんだけど、
 ティム・バートンが監督したモノと、ジョエル・シュマッカーが監督したモノでは、歴然とした差を感じました。
 こんな容易く変貌するもんかいな、と。

 奇しくも、
 これからアメコミ映画は、前例がないほどの規模で製作され、拡大してゆくわけなんだけど、
 どーか同じ轍を踏まないよーにして、楽しませてほしいものでございます。

 や、マジで。


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by y.k-ybf | 2014-10-31 22:50 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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