ある時代の音楽映画。『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』、『ノー・ディレクション・ホーム』、『ジャージー・ボーイズ』。三本。


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 61年のニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ。
 一人のフォーク・シンガーの、
 不本意な日々に翻弄される、一週間が描かれている。

 おしまい。



 とはいかないのが、コーエン兄弟の映画。
 どーせ今回も古典教典やらが題材として忍ばせてあるんだろーなとおもっていたら、ネコの名前が「ユリシーズ」。
 その辺の解説は町山智浩さんが「ムダ話」で詳しく話してるので全スルーするとして。

 この、
 ルーウィン・デイヴィスには、モデルとなった人物がおりまして。
 それがデイヴ・ヴァン・ロンクとゆー、フォーク・シンガー。
 50年代後半の(二度目の)フォーク・リバイバルで活躍された、
 知る人ぞ知る、とゆーにはあまりにも有名な方。だそーで。
 この映画だと陰鬱な印象や、
 寒々としたシーンばかりが強調されるけど、実際はだいぶ異なるみたいですよ。

 フォーク・ソングの話でゆーと、
 61年ってのは前述のムーブメントがあり、フォーク・シーンも活気があった頃。
 そこに現れたのが、映画でも描かれている、ボブ・ディラン。
 彼の登場により、
 民謡やトラディショナルが中心だったフォーク・シーンは、
 自身で作詞作曲するシンガーソングライターの時代へ移ることとなる。
 そんな事情を知っていると、
 この映画の結末が如何に皮肉めいたものか、理解できるだろう。

 パートナーを失い、長くツラい時期を迷い、
 やっと満足な演奏ができたとステージを降りると、もうそこには次の時代を築く男がいるのだ。

 暗いトンネルを抜けると、
 その先には、
 次のトンネルが見えるだけだった。

 じつにコーエン兄弟らしい映画だなと、おもいましたよ。

 主演のオスカー・アイザック本人による演奏も、見事でした。


ANOTHER DAY ANOTHER TIME

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 この映画に合わせた、
 「Another Day,Another Time」、
 とゆーフォークのライブイベントも開催されまして、
 オスカー・アイザックも映画のナンバーを生演奏したり、
 ゲストにジェーン・バエズなども出演したりと、
 劇中のフォーク・シーンを再現したよーな、充実の内容でした。


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 そして、
 更にこの流れでマーティン・スコセッシが監督した、ボブ・ディランのドキュメント映画、
 『ノー・ディレクション・ホーム』も観た。

 この映画はボブ・ディランのデビューと、
 「フォークの新星」と絶大な支持を集めながら、
 バンド編成の曲作りへ移行したことで、強烈なバッシングを受けるに至るまでを、克明に描いている。

 デビューの時期は、丁度『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』の時期と重なるし、
 何より、
 デイヴ・ヴァン・ロンク本人が、当時とボブ・ディランについて語っております。呑気に。
 この二作を比べると、
 実際のグリニッジ・ヴィレッジと、当時のシーンの雰囲気が、何となく判りますよ。

 冒頭に、ボブ・ディランが「これはオデッセイだ」と云ってるのも、「ユリシーズ」と繋がって興味深い。

 例の有名な、
 「ユダ事件」の映像も含まれているので、ロック好きとゆー方は必ず観てくださいな。


 しかし。
 新たな時代の寵児となったボブ・ディランも叩かれて、
 その後、バイク事故で一時的に表舞台から退くこととなるのだから、
 時代の流れとゆーのは、判らんもんだな、と。

 因みに、ビートルズがデビューしたのは63年だから、ちょっと後になるわけだ。


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 そして。
 また同時期に、別のシーンで活躍していたのが、
 4・シーズンズ。

 ミュージカルを基にして、その活動の記録を映画化したのが、
 イーストウッド監督の、『ジャージー・ボーイズ』。
 ま、
 同時期として並べるのは些か乱暴ではあるが、当時のチャートによると名前が並んでんだよね。

 そんな『ジャージー・ボーイズ』。
 ミュージカルのテンポの良さを活かした語り口は、
 そのまんまやないか、とゆー批判もあるが、
 ベストと云えるほど効果的に使われているので、致し方ないかと。
 この映画に関しては、
 ドラマに変換するより、ミュージカルの再現に徹した方が正解だっとおもいます。
 ストーリー的にも。

 だってね、
 曲のパワー頼りのストーリー展開だし、
 クライマックスの「あの曲」も、殆どソロのわけだし…。

 只、
 ラストからの演出は、
 映画らしい演出で、とても良かったとおもいます。

 イーストウッド作品のイメージとは、また一味違った映画で、
 爺さんやるな、
 と、おもわせる一作でした。


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by y.k-ybf | 2015-09-06 10:43 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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