火星か金星どこかの星の怪獣をやっつけろ! 昭和の「ガメラ」、ぜんぶ観た。+一作。
2016年 07月 21日
「ガメラ」全作放送などとゆー魅力的なプログラムがあったので、トライしましたよ。
「ガメラ」は幼少の頃、
テレビでがっつり観た記憶はあるものの、内容はすっかり忘れておりまして。
結果、なかなか新鮮な気分での鑑賞となりました。
何故、怪獣以外の記憶がないのか。
その理由もなんとなく…。
大映による記念すべき第一作目は、65年公開。
まだモノクロでした。
「ゴジラ」が54年公開なので、十年も間があるのは初めて気がつきました。
原爆を積んだ謎の航空機が北極圏に墜落、そのショックでガメラは目覚めます。
後半、
(ガメラが子供を助けるシーンも既にあり、
東京タワーも壊されます。)
SF怪獣映画としてはコンパクトにまとまっておりました。
Zプランによって、ガメラはロケットで火星まで飛ばされました。
66年公開。
カラー作品になります。
ガメラを載せたロケットは、途中で隕石か何かと衝突して、爆発。
前作の苦労は、いったい…。
悪い企みをするヒトたちが、
とゆー、お話。
ガメラはエネルギーを吸収する、とゆー設定で、
ストーリーの主軸はあくまで巨大オパールを巡る話で。
酒場で仲間割れした男二人の殴り合いを延々やったりして、じつに愉快。
この怪獣そっちのけなドラマが、脂っこくて見応えありました。
大映の特撮パートも面白く、
怪獣は恐竜とゆーより、生物感が特徴的で。
バルゴンの血は、ムラサキ。
洞窟には、コウモリが一匹飛んでおりました。
高速道路の開発問題が取り上げられておりますが、
舞台となる村の総意が、
ゴネてゴネてお金をむしり取れとゆー私欲によるものなので、どっちもどっちだ。
ガメラの血は、ミドリ。
ギャオスの血は、ムラサキ。
洞窟には、コウモリが一匹飛んでおりました。
68年公開。
いきなり、地球を狙う宇宙船がガメラにボコられて大爆発。気の毒!
過去作からの流用シーンも目立ち、東京タワーは二度目の倒壊に。
本作からあの有名な、「ガメラマーチ」が流れます。
ストーリーのメインも子供が中心となり、
大映念願の、子供向けへのシフトがこれで完了します。
「ガメラは子供の味方なんだよ!」と、しつこいぐらい念を押してくるからな。
ガメラの血は、青に近いミドリ。
69年とゆーのはメキシコオリンピックの年で、
ガメラが突然、
他にもゴーゴーを踊ったり、UFOを溶接したり、大活躍です。
宇宙人が地球人(子供)をさらって何か悪巧みをしますが、
子供の脳ミソを食べよーと、
しかしこの子供、
もの凄い知識と勘の良さで、ありとあらゆる状況を解説しまくり説明的なセリフを吐きまくり、
ぐいぐいとストーリーを進行させます。
宇宙人にさらわれた恐怖など皆無のよーに。
本作は、
出刃包丁がモチーフとゆー狂人級のデザイン、大悪獣ギロンが登場。
大・悪・獣!
この、絶対に悪い怪獣だとゆーアピールの強烈さよ。
しかも側頭部からは手裏剣を飛ばす抜け目のなさ。
さすが大悪獣。
他にも、
宇宙ギャオスなるギャオスの亜種のよーなものも登場しますが、
ギロンにバラッバラのぶつ切りにされます。
(宇宙ギャオスの肉は臭くて喰えないそうです。)
過去作の流用シーン、有り。
宇宙ギャオスの血は、ムラサキ。
70年公開。
大阪万博直前の時期で、
スポンサーとゆーわけでもなく、大映が勝手にやったよーですな。知らんけど。
外国人の子供がまた出てきますが、この子はカタコトがヒドい。
説明も全部子供がしてくれて、大人がバカに見えてくる。
子供向けって、
正直、
ここまで都合よくやられと、ストーリーなんかどーでもよくなってくる。
相変わらず流用シーンはあるし、
ジャイガーの着ぐるみに炎が燃え移るカットもあった。
ガメラは、アオウミガメが大きくなったヤツみたいなもの、らしい。
一つ賢くなった。
配給が日活との共同のダイニチとなり、大映はこの年、倒産する。らしい。
鴨川シーワールドを舞台に、
子供と宇宙人の追いかけっこを見せられて、心底呆れる。
ベラベラベラベラ喋る子供に、ついに嫌悪感が湧く。
水中でも平気で火炎を吐くガメラや、
魚型なのに直立するジグラ、
マグネチュード13(!)の大地震が都心を襲っても、それはそれとして進行するドラマなど、
次々と愉快なことばかり起きて、楽しいです。
徳間傘下として大映が復活。
80年公開の八作目にして、昭和シリーズの最終作。
じつはちとイレギュラーな番外編とゆーか、シリーズ最大の問題作となっております。
冒頭から「スターデストロイヤー」のパチモンが、例のあのアングルで堂々登場。
出会って4秒で眉間に皺寄る気分。
そんな地球の危機を察知するのが、「M88星」の平和星人と称する3人の女性。
コレ、
「M87星雲」のウルトラマンのパロディで、コスチュームはアメコミヒーロー風。
変身するたびに披露される奇妙なダンスが、
以降、変身解除変身解除の繰り返しで、ホントにしつこい。
因みに平和星人は平和をこよなく愛するので、相手を傷つける武器はもたない。
戦闘は主に、ガメラが勝手に担当してくれます。
敵怪獣はギャオス、ジグラ、バイラス、ジャイガー、ギロン、バルゴンと歴代の怪獣が総登場。
一見、豪華におもえますが、既にお判りでしょう。
本作オリジナルの敵は、強いて云うならスターデストロイヤーのパチモン戦艦だけで。
つか、オリジナルじゃねーし。
主役はエレクトーンが得意で、ガメラが好きな男の子。
シリーズのお約束通り、べちゃくちゃ小生意気なコトを喋り続けます。
少年ジャンプを読んで、「キン肉マン」だ「こち亀」だと大騒ぎ。
わたくしがいちばん衝撃だったのは、
少年がエレクトーンを使い、
「自分の心情変化を表す為のBGMを自分で弾く」とゆーシーンで。
背筋がゾワッと、本気で心配になるシーンでした。
狂っとるのか、と。
「どーして?」
「どーしてでも!」ってゆースゴい会話があったり。
いま夜だし!
つかそれは地球じゃなくて東京の夜景だし!
とゆー、
驚愕と爆笑の連続で、最後まで飽きさせません。
一応、本作はコメディ扱い、らしいけども。
なんとゆーか。
この昭和シリーズは、
テーマが表層的で、表現に深みもなく、
理屈も辻褄も合わずにご都合主義で、
判るコトも判らないコトも台詞で説明させるし、心情をすべて声で発散させるとゆー、
邦画の悪しき点の集合体みたいなシリーズでしたが、
観る価値ないほどツマラナい、なんてこともなく。
その歪さが、オリジナルにもなっている。
文句云いながら楽しめたのも事実なので、わたくしは好きですよ。昭和シリーズ。
内容を覚えていなかったのは、元々中身がなかったからなのだな!
最後は、
06年に公開された『小さき勇者たち~ガメラ~』。
製作が角川になっているのは、大映が吸収合併されたから。
本作は「平成三部作」から方向性をガラッと変えて、
少年とガメラの子との交流を描く、ジュブナイルモノとなっております、、、が。
以降、続編が作られなかったコトや、興行成績からも判る通り、
まあ不評とゆーか、
評価と期待が高過ぎた「平成三部作」からの反発が、裏目に出たんでしょうな。
確かに当時の印象は、
なんでジュブナイルに? って感じだったからな。
そんなこんなで、
わたくしも今回、初の鑑賞となります。
ストーリーは完全に独立したモノながら、
設定は昭和シリーズ、
昭和シリーズを観た後なら、むしろジュブナイルに変更されるのは自然な流れにおもえます。
特撮も、
最新版の「ウルトラマン」のよーな感触はありますが、
当然CGも活用されているので、不満のない出来映え、迫力でした。
意外とね、
間接的だけど恐ろしい場面もちゃんとあるし、
怪獣に襲われて逃げ惑う人々のパニック描写に関しては、
とても効果的に表現されているなと、おもいました。
「赤い石」を子供たちがリレーしてガメラに届けよーとする展開は、
不覚にも、ぐっとくるものがありまして。
ラストの、
決別のシーンとかね。
悪くないんですよ、「小さき勇者たち」。
只、
ジュブナイルの魅力があるかとゆーと、かなり微妙で。
ガメラの活躍が楽しめるかとゆーと、そこも微妙で。
作られた順番が悪かった、と云えばそれまでなんですが。
黒歴史にするほどの作品ではないと、判っただけでもよかった気がしますよ。
終。