新日本 対 U.W.F. 秘蔵試合 DVD-BOX
2005年 05月 17日
「裏」に、「ビデオ」が付くと、
8割方の日本人男性は、
血やら何やらが沸き立つものであると先日文部科学省から統計データが発表されたばかりだが、
プロレスにも似たようなビデオが存在する。
裏、とは、
大雑把に言えば、まともな流通にのらない商品のことで、
このDVDに収められた「前田日明 対 アンドレ・ザ・ジャイアント」は、
その類のビデオの中では特に有名なものだった。
映像に残っていることからテレビ放映が前提であったろうし、
次週の予告でこのカードが発表されていたことも覚えている。
それが放映中止、ビデオの発売もされず、お蔵入りになってしまったわけだが、
当然いわくと言うか、理由がある。
と、
引っぱっておいてなんだが、あまりにも有名な試合なので、
詳しい事情を知りたい方は、ネットでいくらでも探せるとおもうので、
そちらを参考にしていただきたい。
(一応、理由は知っておるのですが、
「人気のある前田に、新日が制裁を・・・」とか、
推測な話ばかりなので、省きます。)
肝心の試合のほうは、
アンドレの膝を正面からポコポコ蹴る前田さんが、
怖かったです。
猪木対アリ戦もそうですが、
こーゆー試合は退屈なものなんですよ。
さて。
前回の『史実』のほうが、
まるでU.W.F.が圧倒的に強かったと、誤解をまねくような書き込みになってしまったんで、
少し、訂正を。
前回って言っても、昼間のことなんだけどね。
さてて。
ビデオを観てもらえば一目瞭然なのですが、
U.W.F.と新日との差は拮抗しており、
名勝負といっても過言ではない試合を、いくつも残しております。
U.W.F.の選手は、そのほとんどが新日出身で、
団体間の意識に特別なものがあるのは、容易に想像できます。
若手同士の兄弟喧嘩との側面もあるといえるし、
スタイルの違いから、
「次のメイン・イベンター」を狙う、潰し合いでもあったのでは、と。
(「次」の「前」は、とうぜん、猪木のこと。)
出身が同じだから噛み合う部分もあるし、
柔軟に対応できる新日選手層の厚さや、選手育成のレベルの高さも、
名勝負を生んだ一因であろう。
U.W.F.の影響は、どちらかと言えばスキルアップだったとおもう。
例えばキックの有効性や、サブミッションの開発やら。
しかしながら、
新日がそれを取り込み、馴染ませるに至った理由には、
完全決着がなかったことも、あったのではないだろうか。
抗争後、
U.W.F.は単独興行という形で結果を求めた。
一方、新日はどこか宙ぶらりんの状態のまま、
Uのスタイルを取り入れ、自ら仮想敵となり、
肯定と否定を繰り返しながら、闘っていたような気がする。
では何故、決着が付かなかったのか。
前田が新日から追放されたことが直接の原因ではあるが、
やはり大きかったのは、
大将同士である、
前田日明とアントニオ猪木の直接シングルマッチが組まれず、
勝敗が付いていなかったからだ。
この先はまた、
もしも・・・、の話になってしまうので省略するが、
失われた「決着」を求めるが故に、
新日は対U.W.F.を想い描き、
U.W.F.はストイックになっていった。
とは、理想過ぎるだろうか。