『ヴィタール』

ヴィタール スタンダード・エディション
/ ハピネット・ピクチャーズ
ISBN : B0009IH0RE




 浅野忠信つながりで、もう一本。


 塚本晋也の純愛映画。

 驚いたのは、映像にストレスが少なかったこと。
 いつもの16ミリから35ミリに変えたそーですが、
 こんなのも撮れるんだとおもいつつ、
 はじめからこんなの撮ってるつもりだったのかなともおもいつつ、鑑賞いたしました。

 車の事故で「恋人」と「記憶」を同時に喪失してしまった男が、
 人体解剖を通じて「再生」してゆく。
 カリカリ、ガリガリ、
 バギ、ボギ、ガリッと、
 医学としての解剖シーンはどこか冷酷で迫力があったのだが、
 グロテスクな印象はなかった。
 それは「解剖」と、失ってしまった「モノ」への探求がシンクロしているからだ。
 彼の、分かり易くいってしまえばココロの闇みたいなモノは複雑で、
 恋人を忘れてしまっただけではなくて、
 愛していたことも、
 故意でなくてもあっても、結果的に殺してしまったことも忘れていた。
 記憶が断片的に甦っても、そこに「現実」と「夢」が混じり込んでゆく。
 ココロとは、何処にあるのか。
 記憶とは、何処にあるのか。
 彼は遺体を、
 それも献体となって現れた「恋人」の遺体を、
 一つ一つ、
 一枚一枚、一片一片まで解剖し、探しはじめる。
 結局は、
 まるで果てのない大地を掘り進めるような探索も、
 幻ともいえるモノであるかもしれないが、
 それまで止まっていたココロや記憶が、わずかながら脈を打つ。

 そして、
 抑えられていた哀しみが堰を切る、ラストは、ハッピーエンドであった。
 と、おもう。
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by y.k-ybf | 2005-11-12 11:43 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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