『僕の小規模な生活』
2008年 01月 24日
福満しげゆきの、『僕の小規模な生活』。
以前から、この方の本は気になっていて、
ずっと探しておりましたが、ずっと見付からず、
新刊の棚で名前を見付けたときには、素で驚いてしまいました。
やっぱり大手のコミックスは扱いがちがうなあ。
基本的には日記マンガで、売れない漫画家のしがない生活の実録でありますが、
とにかく主人公つーか作者自身の思考がネガティブで、
全体的にその影響下で描かれている。
よく今まで生きてこれたなあ、とか、
よく誰からも刺されなかったなあ、と、おもいつつ、
わたくしもネガなニンゲンなので、やたら共感してしまう。
そして、少し落ち込む。
この、イスに座る妻の、後ろ斜めの床に正座して話し掛ける感じなど、
トキメクほどによくわかってしまいます。
そして、少し落ち込む。
日記モノはネタ先行になりがちだけど、
そのへん、抑えているのも特徴の一つで、
リアルに、知りたくもない漫画家の現実を伝えてくれる。
男の情けなさ、ニンゲンのダメさ。
絵柄はディフォルメされて可愛らしくもあるけれど、
切り口がネガなのでどこか歪んでいる。
この歪みが正しいのか、悪いのか。判断は難しいけれど。
他人の所為にするつもりはないが、
誰かに責任を擦り付けないと、やってられないときがある。
そんなに強いニンゲンばかりではない。
どーして学校は、教えてくれなかったんだろう。
イヤ、学校はそれを学ぶところだった。
でも、それに気付けるほど賢かったわけでもなかった。
成功と、失敗以外にも、選択或いは結果があると、おもう。
臆病になってそれを責め立てなくとも、
もっと愉しく、生きられるとおもうのだがな。
お金なんか、ちょっとでいいのだ。
僕の小規模な生活 1 (1) (モーニングKC)
福満 しげゆき / / 講談社
ISBN : 4063754170