『地下鉄(メトロ)に乗って』


 完全に、不覚であった。
 どーせ、昭和ノスタルジーを売りにした、
 タイムトラベル仕掛けの、父と子の心の交流でも描いたお涙頂戴物だと、
 高をくくって観ていたら、
 驚くべきことに、そのどれでもなかった。

 まさか、こんな、デタラメな映画だとは、おもわなんだ。

 ストーリーの大部分は、
 仲違いしていた父親が倒れ、
 弟から見舞いに来るように呼び出されるも、断り続ける次男坊の、
 おかしなおかしな地下鉄物語なのだが。
 まず、タイムトラベル物として、
 記憶のリンクが無く、
 時折、主人公が無視されたりもするので、パラドックス的な影響もほとんどなくて、
 かなりグダグダ。
 ノスタルジー物としても、
 過去のパートは、父の人物像を描くためのものであって、
 郷愁を喚ぶものでも、それがクローズアップされることもない。
 では、
 父と子の和解がクライマックスなのかとゆーと、
 現代のパートでは、肝心の父親は姿を現さず、
 ラストはお墓参りのシーンなので、死んじゃったみたいです。
 過去パートで和解に関するシーンはあるけども、
 これがまた唐突だし、一方的なものだし、
 その前後に衝撃的な展開があるので、印象も薄い。
 (愛人の女性が異母兄妹だとわかり、
  その直後、過去で、身籠もった母親と共に高い石段から、飛び降ります。)

 でわでわ。
 もー、割り切って地下鉄の映画だ、
 メトロ大好き、プロパガンダだ、と、決めつけてみても、
 本編ラスト、
 スタッフロールが流れると、
 主人公の次男坊が乗っていた地下鉄が、トンネルを抜けて外に出ちゃいます。

 地下鉄でもねーのかと。

 最後の最後まで煙に巻いて、愕然とさせてくるキラー映画でありました。


 (散々なことばかり書いてきましたが、
  死に神みたいな先生、ぜんぶ知ってたっぽい愛人さん、「罪と罰」の本と、
  あまり活かされてはおりませんが、
  仕掛けはあるよーなので、安心してご覧ください。)




地下鉄(メトロ)に乗って THXスタンダード・エディション
堤真一 / / ジェネオン エンタテインメント
ISBN : B000M330DO
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by y.k-ybf | 2008-06-20 21:58 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


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