カテゴリ:本棚( 36 )

『プ~ねこ』 北道正幸

プーねこ
北道 正幸 / 講談社
ISBN : 4063375641

 北道正幸という漫画家は、
 メジャーなのだろうか、どーなのか。

 そもそもアフタヌーンって雑誌は、
 どちらかといえばアキバ系なのか。

 どーなのか。

 濃い線でありながら、
 柔軟なポップセンスのある北道正幸は、
 初期の鳥山明と似ている。
 と、ゆーのは、過大評価ではない、と、おもう。

 はじめて読んだのは『スカタン野郎』で、
 意志を持って動き始めた人体模型の話だった。
 人体模型だけにチンコ丸出しで、
 そのチンコさえも独立した意志を持ち、
 勝手に動きだすわ、喋りだすわ、増殖するわの、
 一見、
 一見、、、ではないかもしれんが、キワい部分で遊びながらも、
 落ちどころは、ほろっとくる、
 喜劇テイストな漫画だった。

 喜劇にしては、シュール過ぎるがな。

 以降、
 『スカタン天国』、『ぽちょむきん』と喜劇テイストは(なんとか)保ちながら、
 独特の語り口は鋭さを増し、
 絵のクオリティも、
 ストーリーのおもしろさも、どんどんグレードがあがっていってんのに、
 ぽいっと捨てちゃうのが、北道正幸である。

 主人公を、リカという少女にあわせた『スカタン天国』は、
 お笑い系の漫画としても秀逸なのに、
 ほんっとに感動できる話もあるのに、ぽいっとネコネタにふってしまう。

 ヒーロー物を悪の組織側から描いた『ぽちょむきん』は、
 おちゃらけを含んだうえでハードな設定とストーリーが進行し、
 正悪が逆転するかのような展開までもっていって、ぽいっとネコネタにふるという。

 こーいった紹介が、たいへん難しいマンガを描かれているわけなのだ。

 で、
 今は何を連載しているのかといえば、ネコの4コマ『プ~ねこ』でございます。
 ネコか。
 ネコなのか。
 ネコなのですね。
 このかたの描くネコは、ネコの特徴をものごっつ捉えているため、
 ディフォルメしてるはずなのに、リアルにみえる、ネコ。
 ヒトの言語を口にしながら、ネコの顔のままのネコ。
 不思議ネコ。
 すこし不思議ネコ。というべきか。

 ネコは、
 博識を得たような顔をしながら、何も考えていないような顔をする。
 つまり気のせいなのだが、
 「じつは、知っているんだぜ」みたいなふりをするんですよ、ネコは。

 そんな(どんなや)、
 ネコがいっぱい出てきますので、
 ネコ好きなかたは、よけい、楽しめるのではないでしょうか。



 ネコには、ネコの言葉が。
 イヌには、イヌの言葉が。
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by y.k-ybf | 2005-01-22 21:32 | 本棚 | Comments(0)

『Sink』 いがらしみきお



 一巻目を読んだとき、
 こりゃ、完結するまで何年かかるのか、と不安を覚えたが、
 あっさり二巻で完結した、いがらしみきおの『Sink』。

 だからといって内容まであっさりしておるわけもなく、
 じつにイヤな、ねっとりしたものを残して終わっている。

 や、正確には、終わっていない。

 まあ、二巻のあとがきを読んで、
 この作品がホラー系なんだと気付いたぐらいなので、
 えらそうなことも言えないのですが。
 とても些細で、かつ、根元的なテーマを取りあげている。
 それは政治的にも、歴史的にも連鎖連結し、
 地球というマクロでありミクロへ帰結し、
 「恐怖」は、逃げ場のないループとして、世界を深く重く汚染していく。

 それ、は、
 形でもあり、言葉でもあるが、
 一つではない。
 一つではないから、どこにでもあるのに、どこにあるのかわからない。
 例えば、
 「ココロ」というものを、
 見たニンゲンが誰もいないように。

 地球が、それ自体、一つの生命体であるというのは、
 いまや常識的な論調として知られているが、
 ならば、地球の「ココロ」とは、何であろうか。
 どこに、あるのだろうか。

 世界の、「ココロ」は?

 それ、が、
 自然とは相反するものであることを、
 容易く受け入れ、忘却することは、「恐怖」を増殖させる。

 終わりのない、システムのようでもある。


 スーパーで買い物して、自分の自転車を取りにゆくと、
 カゴに空き缶が山になって詰め込まれていた。

 ココロに、選択肢が生まれる瞬間。
 それが『Sink』に描かれているもの、な、気がするのだが。


Sink 1 (1)
いがらし みきお / 竹書房
ISBN : 4812456495



Sink 2 (2)
いがらし みきお / 竹書房
ISBN : 4812460859



 Sink
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by y.k-ybf | 2005-01-14 18:40 | 本棚 | Comments(0)

『東京大学物語』 江川達也


 夢オチつながりということで。

 フリ、ってのは、ここまでやらないと意味がない。
 真剣にやらないと、笑いにならない。
 等々、
 実証した上で、
 「妄想」というオブラートに包んだ、哲学書である。

 江川達也の、かなり個人的な。

 真面目に読めば、真面目な答えが。
 笑って読めば、笑える答えが、ぽろっとでてくるのはサスガ。

 だがしかし。
 完全に考えすぎであるのも、否めない。
 ちょっと間違えると、トンデモ本である。



東京大学物語 (1)
江川 達也 / 小学館
ISBN : 4091832512
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by y.k-ybf | 2004-12-25 22:05 | 本棚 | Comments(0)

『マイナス 完全版』 山崎さやか


 『マイナス』が例のエピソード収録の完全版で売ってるつーんで、
 読んだ。

 当時、話題にもなったんで説明の必要もないかもしれませんが、
 例のエピソードってのは、
 「子供の遺体を丸焼きにして食べた。」
 というやつで。
 抗議殺到、単行本未収録、「幻」扱いになりました。

 でもこうして読んでみると、
 確かにそのエピソードのインパクトもさることながら、
 あくまでワン・エピソード程度の扱いで済ませていることのほうが、驚きであった。
 つまりこの『マイナス』という作品は、
 全体的に、そーゆーものなのだ。

 一見、
 安達哲の『さくらの唄』を連想させる絵柄、内容におもえたが、
 なぜか途中からマンガチック、ギャグ風味に変化、
 そのくせテンション、内容はどんどん加速してゆくという。
 とんでもないものになった。

 ラストはもう、破滅しかないだろうとおもわれたが、
 意外にも「罪と罰。改心。」という着地点が選ばれた。
 しかしこれ、
 どーしても取って付けたようなものにしか、読めない。
 「死ぬしかない」ものを避けるために、選ばれたような。

 さらに想像を飛躍させると、
 この物語はエンディングを必要とせず、想定されずに綴られていたのではないだろうか。
 笑ってもらって、読み捨てられて、
 終わりもなく、終わろうとしていたようにもおもえた。
 そして『マイナス』のタイトルイメージそのままに、許される作品ではないかと。

 夢オチでいいじゃねえかと。
 仮面ライダー龍騎みたいに。

 わたくしは、これを読んで一回も笑うことができなかった。
 少なからずマイナス思考な人間だから、
 なのかは判らないが、
 ゲラゲラ笑って読める人間も、おそらくおるのだろう。

 ヒトはそれを、プラス思考というのだろうか。

 残酷な言葉である。

マイナス 完全版(1)
山崎 さやか / エンターブレイン
ISBN : 4757718128
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by y.k-ybf | 2004-12-25 21:48 | 本棚 | Comments(0)

『殴るぞ』 『山田シリーズ』 吉田戦車


 突然、吉田戦車マイブームがやってきた。

 『伝染るんです。 』はものすごい好きだったのだが、
 好き度合いが過ぎたというより、
 『伝染るんです。 』のイメージを壊したくないがために、
 追いかけて読むのを、極力、避けていた。

 といっても、いくつかは読んでいるのだが。

 で、
 なぜマイブームが再燃したかというと、
 『殴るぞ』の表紙に、見慣れたカワウソの姿を見つけたからだ。
 遅い。
 遅すぎる。
 すでに二巻の表紙がカワウソなのに、
 気づいたのは五巻が出版されて、『山田シリーズ』も完結した後。
 遅い。
 遅いが、燃焼度合いは半端ではなく、
 なぜかドコにも売ってない四巻を探すため、本屋をハシゴしたり、
 なぜか出版すらされてない、幻というかオレ妄想の本を探しに、ハシゴしたり、
 傍目からは、かるくノイローゼ気味であったことだろう。


 『殴るぞ』は、
 『伝染るんです。』の流れを汲んだものであるが、
 このカワウソは「和歌子」というカワウソであり、
 『伝染るんです。 』のカワウソとは別カワウソで、
 『山田シリーズ』に出ているカワウソこそが、
 『伝染るんです。 』のカワウソと同カワウソなのだ。
 しかしながら『山田シリーズ』のカワウソは、
 あの頃(『伝染るんです。 』)から時間も経過しているためか、
 どこか表情豊かでよく喋り、躁気味なカワウソになっていた。
 むしろ『殴るぞ』の「和歌子」のほうが、
 どことなく、あの頃(『伝染るんです。 』)のカワウソらしさを感じる。
 おそらく「和歌子」のほうが年齢的にあの頃(『伝染るんです。 』)のカワウソと近いと思われるので、
 もしやするとカワウソは、年齢を重ねると性格的な変化が起こる生き物なのかもしれない。
 そしてそれはカワウソ界では常識的な現象で、
 何処からその情報を入手した吉田戦車が、
 『伝染るんです。 』、
 『殴るぞ』、
 『山田シリーズ』の三作を通じて描くことにより、
 密かに情報を提示して、
 カワウソ界の常識を知らない市井を独り嘲り、悦に入っているのではなかろうか。

伝染(うつ)るんです。 (1)
吉田 戦車 / 小学館
ISBN : 4091790410

殴るぞ! 1 (1)
吉田 戦車 / 小学館
ISBN : 4091867316

山田シリーズ 1 (1)
吉田 戦車 / 小学館
ISBN : 4091878016
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by y.k-ybf | 2004-11-18 00:53 | 本棚 | Comments(0)

『PLUTO』 浦沢直樹×手塚治虫


 完結してない本を取り上げるのはやめておこうと思ったのですが、
 予想以上に面白かったので、とりあえず。


 いちいち説明するのも何ですが、
 原作は手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソード、「史上最大のロボット」。
 元が漫画なので、ただのリメイク・・・、
 とは思われないでしょうね。この表紙なら。
 中身も、
 浦沢らしい見事な腕前で、サスペンスというかミステリーというか。
 素晴らしい作品になっております。
 ちゃんと手塚のスター・システムを使ってるし。

 だがここで、さすが浦沢で終わってしまってはいけない。
 この解釈は見事であるが、
 やはりすごいのは手塚治虫で。
 これを、50年前に書いているのが、すごい。
 
 いわゆる劇画を嫌っていたそうで、
 「漫画タッチ」的なものにこだわり続けた手塚治虫の作品は、
 乱暴な言い方だけど、誤解され続けてきた。
 実は「書いている」のに、
 手塚の絵が、イメージが、それを覆い隠してしまっている。

 浦沢直樹の手によって、
 それら隠されたテーマが、どんな形で姿を見せるのか。
 とても楽しみでございます。

PLUTO (1)
浦沢 直樹 / 小学館
ISBN : 4091874312
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by y.k-ybf | 2004-11-09 15:27 | 本棚 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


by y.k-ybf
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