そんなに悪くはないよ。『ショーガール』


プレミアムプライス版 ショーガール blu-ray《数量限定版》

エリザベス・バークレイ,カイル・マクラクラン,ジーナ・ガーション,グレン・プラマー,ロバート・ダヴィ/映像文化社

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 商業的に大ゴケした上、ゴールデンラズベリー賞七部門受賞と、ほぼ総ナメ。
 名実共にアレな映画の代名詞として有名な本作。
 わたくしも全く観る気はありませんでしたが、
 偶々、
 ホントに偶々録画してあるのを見付けて、チャレンジしてみました。

 早速結論からゆーと、ぜんぜん出来の悪い映画じゃなかった。
 バーホーベン監督らしいクオリティを保持した、アメリカ向けのハリウッド映画でしたよ。

 じゃあ何が問題かってーと、「アメリカ向け」の部分。
 アメリカ人ってこーゆーのが好きなんでしょ?
 とゆー、
 ある意味、偏見が誇張された、
 ある意味、リアルな「アメリカ」の姿を、
 バーホーベンが底意地の悪さ全開で応えて作ってしまったのが、本作ではないのかな。
 無邪気な形で。
 エリザベス・バークレー演じる主人公のルックスも性格も、演技も含めた全てが計算された、
 (「アメリカ」の)不気味の谷に見えるのではないかな。
 だからこんなにも嫌われるとゆーか、
 意図的に嫌悪感を刺激してるよーにしか思えませんでした。
 だって、
 少女マンガのライバルキャラ…じゃなくて、
 主人公に嫌がらせをする為だけに登場して後半出番が忘れられるよーな四番手ぐらいのキャラが、主人公だからな。
 (しかも強力な主人公補正が常に発動してる状態だから、最悪な悲劇は免れる。)

 なので、
 逆によくここまでやったわ、バーホーベン、と、評価したい気持ちでございます。

 それと、
 劇中で明かされる主人公の過去を整理してみると、ロッキー山脈に沿うよーに南下しており、
 ラストは、ベガスからロスへ向かう車のショットで終わります。
 コレはつまり、
 ショービジネスが「舞台」から「スクリーン」へ移行した暗喩であり、
 もし続編があったならば、
 「ハリウッド」そのものを描くつもりだったのではないだろーか。

 とゆー、まったく意味のない予想であるが。


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# by y.k-ybf | 2017-07-20 00:26 | 映画 | Comments(0)

『ハクソー・リッジ』


 戦争が狂気を正気に捉えるものならば、青年ドムは正気に盲信する狂気で人命を救う。
 反転する矛盾が蜷局を巻く苛烈な戦場を描くコトで、
 この映画は最も壮絶で凄惨な、真に迫る反戦映画になったと感じた。

 メル・ギブソン監督のバランス感覚とゆーかブレなさは、ちと異常なぐらいの才能に思える。

 ドムを聖人にはしない。
 信仰とは神の奇跡ではなく、
 人間の、誰もが持ちうる意志の強さだと、
 その為に全てが配置され、無駄が削ぎ落とされている。
 敵国である日本軍も、ナチスでさえも、かなりフラットに描いている点も重要で。
 もしココに「悪」が生じると、ドムの意志が歪んで伝わりかねない。

 そのブレない脚本、演出だからこそ辿り着く、
 あの安息日の祈りと、感動ではないだろうか。


 本作は、反戦映画である。


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# by y.k-ybf | 2017-07-06 00:10 | 映画 | Comments(0)

『LOGAN ローガン』 全ての英雄に。


【映画パンフレット】LOGAN ローガン 監督 ジェームズ・マンゴールド

FOX 東宝

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 予告の時点で、
 そりゃオモシロイだろーよ、と予感していた『ローガン』が、
 案の定、面白く、予想も裏切ってくれた。

 小娘と老人との逃避行は口喧嘩やトラブルを重ねながらも、
 やがて頑ななココロを解してゆき…みたいな、
 『ペーパー・ムーン』的な物語かと思っていたら、
 血煙漂う西部劇、『シェーン』の世界だった。。。

 冒頭、
 ローガンが車泥棒のチンピラ相手にボコボコにされるシーンから衝撃だった。
 あのウルヴァリンが、チンピラに苦戦している…。

 「プロフェッサーX」ことチャールズは、
 意識も記憶も半ば朦朧としながら、暴走する能力を薬で抑え、巨大な貯水タンクの中で身を隠し暮らしている。
 車椅子に座り、ビシッとスーツを着ていた面影すら遠い。

 スーパーヒーローとゆー英雄にも訪れる、老いと死。
 消えることのない、戦いの代償。
 その語り口は鋭く、やや反理想的で、物悲しい。

 この『ローガン』とゆー物語は、
 いつか誰かが描かなければならなかった、
 ヒーローの生身の人生であり、苦悶の声に聞こえた。

 ヒーローとは理想であり、理想とは欲望でもあり、
 だからこそ正義を貫く姿が必要で、悲劇とゆードラマも生まれる。

 延々と、我々が望む限り。

 彼らが背負う、或いは背負わされた、罪と罰。
 そして遺された、微かな希望。

 ストーリーとテーマそれぞれに意義を潜めた、
 深く沁みる、
 ヒーロー映画の新たな傑作。



 「俺たちは多くの命を奪ってきた。
  それが正しいことであろうと、生きる為であろうと、
  その代償の十字架は背負わなくてはならない。
  俺も、お前も」

 「ええ、ローガン。あなたの言う通りよ。
  でも私たちが掲げる十字架は、その形ではないわ…」





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# by y.k-ybf | 2017-06-14 23:13 | 映画 | Comments(0)

『の・ようなもの』と『の・ようなもの の・ようなもの』の・感想のようなもの。


の・ようなもの [DVD]

秋吉久美子,伊藤克信,尾藤イサオ,小林まさひろ,大野貴保/KADOKAWA / 角川書店

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 やはり森田芳光監督作は、苦手だ。
 このデビュー作となる『の・ようなもの』(81)にチャレンジしてみたが、
 クセがつよいとゆーか、
 「嘘の現実」である映画の嘘を、更に嘘で描くとゆー大変ややこしいコトを大胆にやるので、
 これまたたいへん飲み込みにくい。
 異物感と身体の拒否反応で、ココロの危険アラートが鳴り止まない。
 コレは八十年代とゆー時代性だけではなく、森田芳光の作家性に依るものであろう。
 伊藤克信(新人)の危なっかしい訛った演技も、まるで好ましくおもえない。

 どーしたもんかと途方に暮れて、
 後半残り十分、映画が激変する。

 主人公である落語家の志ん魚(伊藤克信)が、
 高校生の彼女の家を後にして、
 深夜の東京を「道中づけ」しながら歩いて帰宅する一連のシーン。
 それまである種のファンタジックだった世界観が一変し、リアルで生々しい町並みが浮かび上がった。
 それは団地であったり商店街であったり、
 ちり紙交換や、落語家やトルコ嬢や、バブルそのものだったり。
 装飾された姿が剥がれ落ち、祭りの終わりを予感させる。

 ラストが兄弟子の真打ち昇進祝いの宴会なのも、祭りのあとを意味しているよーに感じられた。
 「八十年代」とゆー狂騒を予言したかのよーな、何とも鮮やかな侘びしさ。

 思えば『メイン・テーマ』でも、ラストのホテルに到着した瞬間にやられたものだ。

 恐るべし、森田芳光。


の・ようなもの のようなもの [DVD]

松山ケンイチ,北川景子,伊藤克信,でんでん,尾藤イサオ/KADOKAWA / 角川書店

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 そんな『の・ようなもの』の続編でもあり、
 森田芳光リスペクトとして、監督が亡くなった四年後に製作されたのが、
 『の・ようなもの の・ようなもの』。

 監督は森田作品で助監督を務めていた、杉山泰一。
 主演は松山ケンイチ。

 ストーリーは正統な続編と呼べる、前作から35年後を舞台にしており、
 キャストも皆、
 『の・ようなもの』に限らず、森田作品に馴染みがあるヒトばかりでリスペクト全開の作品に仕上がっている。

 それはとても良いコトだけれど、
 同時に、
 森田芳光の作品ではないと、かなり強めで痛感させられた。
 前作と続けて観てしまっただけに。

 コピーではなくリスペクトなので同じである必要もないのだが、
 ココまで違ったモノになるのだな。。。
 逆説的に、森田芳光監督が如何に才能とセンスのヒトであったのか。
 よく理解できましたよ。

 そもそも、
 『の・ようなもの』は「落語」そのもののような映画であり、
 『の・ようなもの の・ようなもの』は、「落語家」の映画なんだな。
 まさに、
 のようなもの、のようなものでありました。


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# by y.k-ybf | 2017-06-08 23:46 | 映画 | Comments(0)

『NINJA THE MONSTER』 時折やる最後まで全部云うパターンのヤツ。


NINJA THE MONSTER [DVD]

DEAN FUJIOKA,森川 葵,和田 聰宏/松竹

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 かなりの強敵だった。
 わずか九十分にも満たない作品ながら、最後まで辿り着くのに五日は掛かった。
 面白くない。
 只々、面白くない。
 限りなくゼロ点に近い。

 時代は江戸時代。
 幕府により「忍者禁止令」が発令され、忍者は根絶された。
 そんな中、
 姫を連れた一行が江戸へ向かう為、峠を越えよーとしていた。。。

 主演のディーン・フジオカは、
 忍者役のニンジャくんで、一行を護衛する助っ人に雇われている。
 その姿は忍者とゆーよりマタギであるが、禁止令の影響であろう。
 危険を察知したり、
 サバイバル能力が高かったり、腕っぷしが強かったりと、
 活躍はすれど忍者らしい特性はなく、
 マタギで十分な気もするが、コレも禁止令の影響であろう。

 一行は早々にモンスターに襲われて、
 姫と、いちばんキャラが立つお付きの侍と、ニンジャくんだけが生き残ります。
 他は全員モンスターに食べられました。
 いっぱいヒトがいると面倒だし、お金も掛かるからね!

 三人は仲良くケンカしながら、ずんずん峠を進んで行きます。
 江戸に辿り着かないと、藩は取り潰しになるのです。
 姫には使命と覚悟があるのです!

 とか云ってる内に、
 侍がモンスターに襲われて、死にます。
 姫と藩を想う、あんなにイイヤツだったのに。高飛車だけど。
 ニンジャくんが苦しまないよーにトドメを刺すと、
 「オメーが殺したんか!?」と姫は誤解しますが、
 「違うよ、全然違うよ」と云われて、信じる&淡い恋心が芽生えます。
 コレが吊り橋効果とゆーモノでしょうか。
 以後、
 犠牲になって守ってくれた侍のコトはすっかり忘れたよーで、名前も呼ばれません。

 延々と続く竹林ばかりの峠を抜けると、
 奇跡的に難を逃れたべつの侍(姫の家臣)と再会しますが、今度は河を渡らないと行けません。
 一見、大人三人ぐらいは乗れそーな舟でしたが、
 ニンジャくんが頑なに、
 「二人しか乗れないからオマエが残れ」と侍に冷徹な判断を下したら、
 侍は逆上して、気が触れてしまいます。
 命からがらモンスターから逃げて、
 ろくに食料も助かる当てもなく廃寺で息を潜めて隠れていたのに、また置き去りになるのだから当然の反応ですね。

 気が触れた侍は暴れまわった後どっかに消えたので、
 姫とニンジャくんは、
 特に急ぐ様子もなく、優雅に星空を眺めながら舟で河を渡りました。

 もうすぐ江戸の関所近く。
 やっと、
 やっとこの映画…ではなく、この旅も終わるのか。
 そしたら突然、姫が駄々をこね、
 「藩なんかどーでもいいし、江戸も行きたくねーし」と、本音をポロリ。
 どーやら使命も覚悟も足りなかったよーで、ニンジャくんを惑わし始めます。
 (繰り返しますが、亡くなった侍や家臣のコトは一切思い出しません。)

 ハイ、ココ!
 と、絶妙なタイミングで現れるモンスター。
 襲われ、追い込まれる二人。
 何故かニンジャくんは戦わず、モンスターと見つめ合います。
 「(邪魔だから)姫は一人で逃げろ!」
 ニンジャくんに云われてカッとなった姫は、
 護身用の短刀でモンスターに斬り掛かると、見事命中。
 ビックリしたモンスターは、その僅か一刀で退散。
 ついでに浅間山も噴火して、他のモンスターも退散してしまいます。

 「アイツらの気持ちは判る。忍者のオレも、アイツらも、この国には不要な存在だからな…」
 見つめ合い、何かを通じ合ったニンジャくんは知った風な口を利きますが、
 たぶんモンスターが逃げたのは、身の危険を感じたから。

 何十人ものお侍さん含めたニンゲンをペロリとしてきたモンスターが、たった一撃で退散する。
 まさに衝撃の結末!

 姫が振り返ると、既にニンジャくんの姿はありませんでした。
 ヤベエ女だと思ったんでしょうね。
 その後、姫は老中の側室となり、藩は無事でした。
 モンスターの一件は浅間山の噴火と絡めて、「天明の大飢饉」として誤魔化したそーです。幕府が。

 なんだその中学生が歴史の教科書をかじって作ったよーなオチわ!!

 コレ、
 松竹が海外向けブランドとして製作したらしいんだけど、
 たぶん、ウソだと思う。
 こんな冷蔵庫の残り物で作った炒め物のよーな作品を、どこの「海外」へ捨てる向けるつもりだったのか。

 ニンジャくんは優秀なマタギだったので、残念なニンジャ描写には納得できても、
 酷かったのは、モンスター。

 透明な液体状のモノが空中で固まり、モンスターになるわけだが、
 このデザインとゆーかアイデアは、ジェームズ・キャメロンの『アビス』(89)に似ている。
 そこはさて置いても、
 正体も目的も、理由も意味も判らず、
 ニンゲンに襲い掛かるシーンも無いとゆーのは、あまりにお粗末ではないか。

 タイトルの真の意味、
 ニンジャとモンスターの共感には、驚きましたけどね。悪い意味で


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# by y.k-ybf | 2017-06-08 00:40 | 映画 | Comments(0)

むしろ、レコード・プレイヤー、の、ようなもの。


by y.k-ybf
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