M-1グランプリの節目。
2004年 12月 28日
もうチャットで喋り尽くした気がするので、
改めて書くのアレなんですが、とりあえず。
M-1が終わりました。
優勝はアンタッチャブルでした。とりあえず、予想通りでした。
自ら公言していたように、
優勝候補として挙がっていた笑い飯は、残念ながら最終三組まで残れませんでした。
これは完全に戦略ミス。
お客さん、審査員が求めていたものを、提供することができていなかったからだと推測される。
極端な言い方をしてしまうと、
今年の笑い飯の優勝は、
昨年のM-1でフットボール・アワーが優勝した直後から予測され、期待されていた。
「来年は確実」
「敵はいないだろう」、と。
(またおもしろいことに、笑い飯とともに昨年、最終三組に残っていたアンタッチャブルには、
その期待はまだまだ薄かった。)
笑い飯が誤ったのは、「期待」の質。
お客さん、
分かり易く限定すると、東京のお客さんは、笑い飯の「凄いところ」を実感したかった。
独特の、ボケとボケが絡まって、えらい勢いで爆発してゆく様を見たかったのだが、
決勝で披露された彼らのネタは、
妙に温度が安定してしまっている、慣らしのようなネタであった。
決してそれがおもしろくなかったわけでも、
余裕で手を抜いていたわけでもないだろうが、
優勝候補の期待が生んだ悪戯か、周囲を満足させることができなかった。
なぜなら、
お客さんは笑い飯の「凄いところ」しか知らなかったから。
安パイとしてのネタなど、誰も求めていなかったのだ。
また、順番も悪かった。
今年は千鳥が昨年同様トップバッターと言うことで、
クジ運の悪さを指摘する声もあったが、
本当に悪かったのは笑い飯のほうで、
トップとは言わないまでも、
二番目、三番目にネタをやっていた方が、
たとえ「期待」とは違うものだったとしても、十分、牽制にはなったとおもうし、
今回のような結果にはならなかったのではないだろうか。
逆に、「期待」とバッチリはまっていたのがアンタッチャブル。
過剰なくらいのメディア露出、分かり易いキャラクターとネタで、
一見、
ありがちな人気熱と認知度による条件反射的な笑いがおおきくあるようにみえるのだが、
彼らにはそれを越えられるだけの話術、ポテンシャルがあった。
おそらく、才能とか言うものだろう。
メディアに出る、分かり易いってのは、
消費されるスピードも速いという、でかすぎるマイナス面がある。
個人的な感想ではあるが、
アンタッチャブルのキャラクターはちょっと単純で、飽きたところもあった。
しかしそれがネタともなると、
ブレーキになることもなく、予定調和でもなく、純粋に笑いを生み出している。
それは彼らのキャラクターからは想像し難いものなのだが、
とんでもないものではなかろうかと、大袈裟に言ってもよい気がする。
まわりくどい言い回しなのは、
少々、自信がないからなのだが。
最後にやった「万引きネタ」、今年だけでも二、三回はテレビで観たような気がする。
それをこうして、
しかもM-1という審査される場で観ても、笑えるのは大袈裟ではなく、驚きだった。
これだけネタを回して使えるなんて、漫才ブームの頃の芸人さんみたいではないか。
新しいもの、
玄人受けするものばかりではなく、
こうした笑いをグランプリにできる広さを、M-1は失ってほしくないとおもいます。
おわり。
敗者復活戦と決勝1本目で麒麟は同じネタをやりましたが、実は決勝の時、田村のツッコミのタイミングが少し早くなってたのが気になりました。
終始完璧だったのがアンタッチャブルで、ベスト以上のタイミングをとれていたのが南海キャンディーズ。そのままの結果だと思います。
でも、M-1のお客さんは、いいお客さんだと思った。余裕持って笑ってた。