『みなさん、さようなら』、を、観た。
2014年 01月 29日
12年公開の、中村義洋監督作品。
小学校を卒業してから、ずっと団地の中だけで生きていこうと決めた、男の子のお話。
濱田岳が、中学時代から成年になるまで、ずっと演じているはなかなかの無理があるのだが、
これは監督の勇気ある判断ですな。
そこまで違和感も感じなかったのは、濱田岳のキャラ力、かな?w
対策として、
時代のディフォルメ感とゆーフィルターが、人物全般に掛けられていますね。服装とかに。
んで、
団地の中だけで生きるとゆーストーリーが、案外、スムーズに進行してゆく。
友人はいるし、仕事も見つかるし、婚約までするし。
しかし途中で判明する、「ある事件」。
それが、彼が団地から出なくなった、出られなくなった原因ってのは、ちょっと残念。
伏線の回収にはなっているけど、
ここは幼いなりの決断として、団地だけで生きると決めてほしかったな。
トラウマではなく、自分の意志で。
そーでないと、彼の人生への肯定が鈍るとゆーか、
違う意味になってしまう…ま、違う意味なんだけどね。
それと友人のあの子も、精神薄弱ってのはなぁ…。なんかムリヤリ退場させられた感じ。
まあ、そのへんは勝手な思い込みなので、映画の出来とは関係ないんだけど。
そしてラストの、ついに…ってシーン。
音楽も消えて、カメラだけがそこに残り、姿を追うカットは、さすが巧いな、と。
ここは如何に自然に見せるかが勝負で、劇的に盛っては台無しになるので、
いいシーンだなぁとおもいましたよ。ちゃんと全編を紡ぐ形にもなってるし。
じつは、
最終的にはみんな帰ってくるんじゃないか、とか、
「さよなら~」と手を振って終わるとか、そんなラストシーンを想像してたんだけど、
んな恥ずかしいことはしませんね。ごめんなさい。
タナダユキの映画を観た後なので、
コメディっぽい調子や、ドラマチックな展開に少し抵抗も感じたが、
おもしろく、とても興味深い作品でしたよ。
団地が、何を意味しているのかと考えると。
この、団地に残り、皆を見送り、古びてゆく場所と共に生きるってのは、他人事におもえなくてね。
地方の寂れた都市に生きて、その光景を見つめてきたヒトには、何か感じるものがあるんじゃないかな。
只ね、
彼のよーな生き方も、認めてほしいんだけどね。
彼の人生を。