『シュガーマン 奇跡に愛された男』、を、観た。
2014年 03月 30日
とても感想が難しい、ドキュメント映画でした。
もー何度も何度も書き直しているが、なかなか上手い表現が見付からない。
それはこの映画が、
奇跡や運命、才能や音楽のチカラなどと云ったものではなく、
ロドリゲスとゆー人物、その生き方に集約される物語だからだ。
そこには何も加えるべきではないと、おもふ。
ので、
まったく関係無い話を始める。
以前、ディスク・ユニオンに通いつめていた頃、
普通の音楽に飽き始めて、ほぼネタ狙いとゆーか、キワモノ探しとゆーか、
中身もわからずに、ジャケット買いをしていた時期があった。
選ぶのは、主に輸入盤や日本のインディーズ。
これはコレで当たりも多く、
ヘンに期待してない分、ハズレても楽しめるので、しばらく続けていた。
そんな時に、ある一枚のCDを見付けた。
それは輸入盤で、
おそらくアメリカの住宅だろう、
何の特徴もない、少し寂れた一軒家だけが撮された、質の粗い写真のジャケット。
文字も無い。
お店の小さなPOPには、
フォーキー云々、話題云々と書いてあった気がするが、まったく記憶にない。
裏ジャケには「JANDEK」と太文字で印刷されていたが、
これがアーティスト名なのか、
アルバムタイトルなのか、レーベル名なのか、サッパリわからない。
つか、何て読むのかすらわからない。
当時、ネットで検索もしたとおもふが、そこで何かの情報を得た覚えもない。
肝心のCDの中身は、
ツンタンタン、ビョ~ン♪
ツンタンタン、ビョ~~ン♪
と、チューニングがだらしないフォークギターの伴奏っつーかノイズに、
限りなくお経に近いラップっぽい歌がのるとゆー、
ローファイって言葉が星の如く輝いておもえるダウナーな楽曲。
子守歌のよーに静かで音も少ないが、
ハイスピード・テクノのよーな無機質な不安を感じさせる歌。
この、
弾けないギターをかき鳴らしてるだけのよーな、
それでいてまったくクセにもならず、面白味も中毒性も感じられない、
今まさに、
このCDが世界中から全て消滅したとしても誰も困らないだろーとおもえる、この音楽!
これは一体、何なのか!!
そんな疑問と謎を抱えてることすら忘れて(※繰り返し聴かないので)、
十数年、
たまたまテレビを点けたら、「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」が放送しておりまして。
それは日本ではまず公開されないよーなドキュメンタリー映画を紹介する番組で、
今日は何をやってんだろと、ごろんと横になって観ていたら、
謎のミュージシャンを追ったドキュメンタリーで、
なんだこれ? と。
ヘンな音楽だなぁ、
名前は、えーと…、
ジャ…ン…デック?
JAN、DEKか‥‥‥‥‥?
なんか、見た覚えのある名前だな…。
と、気付くやいなや、
とび起きてCD棚をバババッと漁って、引っ張り出してきましたよ、JANDEK!
そーかオマエか、
オマエ、ジャンデックってゆーのか!!!
とゆー、
なかなか説明も共感してもらうのも難しい、劇的な再会を果たしたのであります。
たった一枚の、無名有名関係無いレコードが、
希有なエピソードを呼び寄せてくれたりもするのですよ。
棚の奥に隠れている一枚を、たまには開いてみてわ?
歌詞カードの折り目に小さな虫が繭を作っているかもよ。