『ファントム・スレッド』
2018年 06月 12日
この物語が何処へ向かい、何を描こうとするのか。
エンディングの手前までホントに理解できなかった。
哀しむべきか、笑うべきか、恐がるべきか。
湧き上がる感情が迷うとゆー経験も、なかなか珍しい。
かと云って難解なわけでもなく、退屈な場面など一秒も無かった。
まるで刺身になって皿に盛られてもパクパクと口を動かす鮮魚のよーに、物語は鮮やかな手さばきで構築される。
言葉にすると異なる意味を放つ「愛」について。
結婚前にウエディングドレスを着ると婚期が延びる、程度の迷信は今でも日本にはあるし、
「結婚」が呪いを撒き散らすとゆーロジックの不思議。否定によって強度を増す迷信。
何故かこの映画を観た後に連想したのは『エクソシスト』で。
レイノルズとアルマの関係は、神父とリーガンの関係のよーに思えた。
アルマの表情は豊かで、
あの毒キノコの料理に隠された糸は、「死なないで」とゆー想いではないのか。
じつはリーガンこそが、神父の呪いを解いていたのではないだろうか。
究極的な美談の物語ではあるが、
この秘められた一本の糸は、普遍的なテーマだと感じられた。