『THE ESSO TRINIDAD STEEL BAND』/THE ESSO TRINIDAD STEEL BAND (006/100)
2007年 11月 15日
ジャケ買いして、当たった一枚。
名前から判るように、スティール・ドラムのバンドで、
強い陽射しの船上でドラムを叩く彼らを写したジャケットが、
あまりにも素晴らしかったので、速効で掴んでしまいました。
そんで。
解説にあるスティール・ドラム発祥の話がおもしろかったので、要約してみます。
アフリカからの黒人奴隷が、労働力としてトリニダード・トバゴへ移民させられる。
そこでは厳しい規制が敷かれて、伝統的な文化や、宗教まで禁じられた。
歌や踊り、楽器さえも。
やがて彼らは、海岸にうち捨てられていたドラム缶をみつけ、ガンガン叩きはじめる。
叩いて、叩いて、叩きまくってるうちに、
音階を持った楽器となって、スティール・ドラムが完成する。
そして、制度から解放されると、
バンドは、オーケストラになり、
カーニバルになり、国を代表する楽器と音楽になった。
バンド名にある「エッソ」は、有名なアメリカの石油会社のことで。
エッソのドラム缶がスティール・ドラムとして質が良かったのが、由来になっている。
直接的な関係性はさておき。
支配的な産業の廃棄物から、労働者たちが生み出した文化とは、
何とも皮肉で、素晴らしいことだと、おもう。
まさに、レベル・ミュージックだ、と。
キラキラと透き通るように響くスティール・ドラムと、
瑞々しく躍動するバンドの演奏が、感動的なアルバムでございます。
エッソ・トリニダード・スティール・バンド!
エッソ・トリニダード・スティール・バンド / ワーナーミュージック・ジャパン